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脳は音を選び、補完している。カクテルパーティー効果と連続聴効果

脳は雑踏の中でも音を聞きやすく処理してくれている。

私たちの脳は、ザワザワと色々な音がする騒がしい場所であっても
自分の聞きたい話を意識的、または無意識的に選択して聞き取っています。
もし、この処理が行われなければ、言葉も雑踏の音も同列に聞こえてしまい、
目の前で会話をしている相手の話が聞き取りにくくなってしまいます。
私たちは周りの音の中から、自分の聞きたい言葉や音を選んで聞き取っているのです。
今回は、そんな「脳の不思議な聞く能力」についてのお話をしていきます。

目次

カクテルパーティー効果

私たちは騒がしいカクテルパーティーの会場にあっても、
聞きたい話を聞き取ることが出来たり、どこからか名前を呼ばれれば、
それに気づくことができます。このことから、
この現象は「カクテルパーティー効果」や「カクテルパーティー現象」と言われています。
また、別の呼び方で選択的注意、選択的聴取という呼び方があります。
選択的注意とは、様々な情報が溢れている時に、
その中から自分に必要な情報だけを選択して注意を向けることです。

私達は、周りの音から選択して聞いている

私たちは選択して音を聞くことができます。
例えばファミレスで、一緒に来た仲間が話をしている時に、
その話よりも、隣のテーブルにいる赤の他人達の会話が気になったとしましょう。
その時、正面にいる仲間が話をして音を発していたとしても、
隣のテーブルの会話に聞く耳を立てればそちらの方の話を聞くことができます。

また、雑踏の中で遠くから自分の名前を呼ぶ声がすれば、
周りで他の音がしていても、
その中から私たちはその呼び声を取り出して聞くことができます。
私達は、自分に興味がある話ですとか、自分に関連する言葉を聞いた時は、
意識的、無意識的に周囲の音の中からその音を取り出して聞いているのです。

カクテルパーティー現象はコミュニケーションでも応用できる

さて、このカクテルパーティー効果は
コミュニケーションの場においても応用して使うことができると言われています。
どういった方法があるのかと言うと、例えば会話の中で相手の名前を呼ぶことによって、
相手に自分の話や自分自身を印象付けるという方法があります。
先ほども説明したように、人は自分に関連することに対して聞く意識が向きます。
ですから相手の名前を呼ぶことによって聞く意識をこちらに向けるのです。

例えば相手に感謝を伝える時に、ただ単に「ありがとう」と言うよりも、
「〇〇さん…、ありがとう」と言った方が印象に残るわけです。
ぜひ相手に感謝の意を伝えたい時などに、やってみてください。

音を補完する現象、連続聴効果

さて続いては、カクテルパーティー効果とはまた違う現象のお話です。
私達はザワザワと騒がしい中で、雑音が言葉の間に入ってきたとしても
なぜ話を理解することができるのでしょうか。
それは脳が無意識にその間の音を埋めて補完してくれているからです。
この現象を「連続聴効果」と言います。
音楽でもこの現象は起こりますが、とくに話し声の場合を「音韻修復」と言います。

連続聴効果を分かりやすく説明すると、
言葉や音楽などの音声の途中途中に雑音を挟んでも、
繋がりをもって聞こえるのですが、
このあいだに挟んだ雑音部分をそっくり空白の無音と取り変えた途端、
言葉や音楽はぶつ切りになって、意味や繋がりが分かりにくく聞こえてしまうのです。

なぜこうなるかというと、雑音が途中途中で挟まれいる場合は
脳が勝手に雑音の前後の音をヒントにして
雑音の部分に当てはまる音を補完して繋げてくれるのですが、
そこを空白の無音にした場合、脳がその部分を無音だと捉えてしまい、
補完することを止めてしまうからです。

つまり脳には合間に余計な音が入ると補完して聞けるようにしてくれる能力があるのですね。
ということは、私たちが普段、雑音だらけの街で会話して聞き取っている言葉は、
実は、脳が聞きやすいように補正しているものだったということです。

人の能力を超える人工知能!驚異のディープラーニング

さて、この項では人工知能が段々と人間以上の
選択的聴取を行い始めている…、つまり人と同じようにカクテルパーティー効果のように聞くことができるようになってきているという話のご紹介をしていきます。

三菱電機は2017年に、独自のAI技術「ディープクラスタリング」を用いて、
マイク1本で録音した複数の人の同時音声を分離し再現することに成功したと発表しました。
またGoogleの研究チームは、複数の人が話すビデオから、
音声のみでなく、口の動きなどを参考にして1人の音声を抽出する技術を開発しました。
さらにNTTからは、対象者の声の情報と位置にだけ注目し、雑音や他者の声の混じった音声から、
その声を抽出する技術「SpeakerBeam」を実現したという発表がありました。
NTTのニュースリリースによると、人間の選択的聴取と同等の機能に相当するとの旨が書かれていました。驚きですね。

これらの技術は、すべてディープラーニングと呼ばれるAI(人工知能)の学習方法を用いたものです。
ディープラーニングは、またの名を深層学習と言い、
人間の脳神経回路を真似して作った多層構造のニューラルネットワークの機械学習です。
かいつまんで説明すると、人間が教えなくても
大量のデータを与えると、自ら特徴に気付いて人工知能が自律的に学習するというものです。
このディープラーニングの登場は、世間のあちこちで話題になりましたよね。
本やドラマなどでも、ひっきりなしに題材にされていました。
ディープラーニングは音声処理、画像処理など、幅広いフィールドで活用されています。
その技術が、人以上に聞きたい音を取り出して聞くことが可能な所まで来ているなんて、
とても驚きですね。いったい未来の世界はどんな風になっていくのか、恐くもあり、楽しみでもあります。


さて、今回は「カクテルパーティ効果」や「連続聴効果」などの、
雑音の中でも会話が聞ける現象についてのお話でした。
私達が普段、無意識的に行っていることは
とても不思議で、凄い事ばかりです。
知ると世界が少し変わって見えてきます。
いや、聞こえてきますね。

ということで、今日はここまでとなります。
お読みいただきありがとうございました。